■ 闇の扉6
『あの子はチームの子なの?』
隣で奈々とタカヒロが喋っている会話ですら、わたしの耳には客観的に聞こえた。
「そう、配下のFIVEっつーチームの頭がリキって奴で、そいつの女。今FIVEがこっち向かってる」
『どうしてあんな目つき…』
「知りてぇの?」
『………』
即答できない奈々の気持ちもよく分かる。
死人のような目をしたあの子の正体を知ってしまうのが怖い。
『あれもワタルの仕業?』
小さなわたしの呟きにピクッと哲也の頬が動いた。
でも哲也の答えなんて分かりきったもので。
「心配すんなって」
期待を裏切らない哲也の言葉にわたしは拳をギュッと握りしめた。
悔しさを手に込めてジッと冷静さを整える。
こんなに側にいるのに、心が通じ合っていなきゃ何の意味もない。
こうやっていつまでもわたしに何も言わない哲也を、これからもわたしは愛していける…―――?