■ 闇の扉5
【side ゆきみ】
しばらくすると大きな騒音が近づいてきて、わたし達はホッと胸を撫で下ろした。
ケンチが走ってきて、続く哲也とタカヒロも小走りで。
「直人は?」
奈々の肩にポンッと手を乗せるケンチは、奈々の不安をよーく分かっているんだって。
今の¨ポンッ¨で、奈々の不安が半分くらい消えたんじゃないかって。
「ゆきみ」
『哲也…あの子は、薬?』
わたしがそう呟くと、ほんの一瞬困った顔を浮かべつつも「心配すんな」って言われる。
そうやっていつも、ごまかされているわたし達。
真実を受け止められないと、哲也は思っているんだろうか。
わたしを守る為だと分かっているけど、それでも教えて欲しいのに。
怖くないって言ったら嘘になるけど、哲也が側にいてくれるんなら、それすらも消えてしまうというのに。
哲也がわたしを守れないとでも思っているんだろうか。
―――ノリの事はあんなにも守っていたのに。
そこに、わたしとノリの違いがあるみたいで悲しい。
信用されてない自分がすごく悲しいんだ。