■ 心奪11


『ごめんね。何か奈々とケンチ見てたら聞きたくなっちゃった。タカヒロが似合ってないって事じゃないよ!ただ、少しだけ二人がお似合いに見えたから…』




クリスマスイヴのあの日、奈々は自分の女だと。


奈々は自分が守ると言ったケンチ。


あの場所にタカヒロがいても、ケンチは同じ台詞を口にしたんだろうか。


結局のところ、わたしはそうとうあのクリスマスイヴの出来事にこだわっているみたい。



『哲也くんの事、不安なの? …直人の事…』



ハッとしたように奈々が言葉を止めた。


こっちに向かって直人が歩いてきたから。


今のが直人に聞かれたは分からないけど、直人はわたし達に何も言わない。


ただジッと直人はわたしの胸元のチェーンを見ている。




―――――それは、クリスマスイヴに直人がわたしにくれたプレゼントのネックレスだった。



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