■ 心奪5
【side ゆきみ】
青倉庫の外に行くと、直人が他の子に紛れて遊んでいた。
わたし達がいない所では、直人やケンチに集まってくるチームの子は沢山いて。
特攻になってからもその人気は増えるばかり。
わたしに気づいた子達が頭を下げる。
チームの女の子に煙草を教えていたらしい直人は、振り返ったらほんの少し顔を歪めた。
わたしの存在に気まずい顔を見せる直人が何だか遠く感じた。
『何してんの?』
だからなのか、口に出したわたしの声は強さを増していて、でもそんなの自分にしか気づかない程度…
…―――なのに、
「ゆきみさん? どうかした?」
どんなに小さな異変も見逃さない直人。
わたしが来るまで別の子と仲良くしていたのに。
簡単にわたしの変化に気付く直人に腹がたった。
フイッて直人の言葉を無視して車に向かって歩くわたしに、当たり前に直人の足音が近付く。
ケンチに気使って廊下を早めに駆け抜けて来た事を後悔した。
まだ、奈々とケンチは外に来ていない。