私のすべて1 愛されるっていう行為を身体に刻み付けるかのよう、私の上で艶っぽい声を出すアキラ。 テレビドラマや映画でそういうシーンを見たことはあるものの、実際こうして肌を重ねるのは初めてで…。 プルっとした厚めの唇が私の身体を綺麗に動いていく。 何ともいえない気分でギュっとシーツを握る私の手を、そっとアキラが上から握りしめた。 「怖い?」 確かめるように聞かれて…怖いなんてことない。 首を左右に振ってアキラを見つめる私に、チュっと小さなキスを落とした。 それだけで胸の奥がキュンってする。 甘酸っぱい気持ちは高ぶっていくばかりで、次第に呼吸もあがってくる。 私の身体に顔を埋めてその愛情をたっぷり注いでくれるアキラの頭をギュっと抱えると、小さくアキラが吐息を漏らした。 汗ばんだ身体からは、ほろ苦い煙草と混ざって甘い香りが漂っていて、それが私の心を縛り付けるみたいに離れない。 離したくない…――――――― 「愛してる」そんな言葉を期待しているわけではないけれど…こういう時ってそういう言葉が出やすいんじゃないんだろうか…? 聞きたい、アキラの口から、アキラの声で… 「アキラ…」 勇気を出して私の身体に舌を這わせるアキラを呼び止める。 顔を上げて「なに?」ちょっと乱れた呼吸をしながらそんな問いかけ。 「あの…」 「うん?」 「えっと…」 「…うん?」 「何か言って…?」 カア―って真っ赤になっていくのが分かるけど、この部屋は間接照明だけできっと私の赤面はアキラには分からないはず。 それでも身体が熱くなっていくのは感じていて…。 こんなの自分の口から言えないよ、やっぱり…。 でも、聞きたい… 私を見つめるアキラの視線が宙を舞って戻ってくると、優しく微笑んだ。 「なんだよ、お前欲張りになったんじゃねぇ?」 私を見下ろす瞳は余裕があって… 「そうよ、アキラが何も言ってくれないから…ずっと待ってるのに…」 自分で言ってて泣きそうになってしまって。 泣くのは女の武器だと思われたくないのに。 私そんな弱い女じゃないのに、アキラの前だと融通が利かなくて… 「一度しか言わねぇからよく聞けよ…」 「え…」 ギュウって私を強く抱きしめて、小さく耳元で言ったんだ。 「愛してる、ユヅキ」 ブワって涙が溢れて、私の全てがアキラでいっぱいになった。 |