瞳を閉じて1 明日が休みでよかった。 こんな気持ちのままアキラに逢えるわけない…――― ――――――――――… 携帯の電源を落とすと、大きなベッドの上に寄りかかっているテツヤさんの側に行った。 「ここテツヤさんの家?」 「そう」 「すごいお屋敷で吃驚しました」 キョロキョロと辺りを見回すと、何とも高級そうなものばかりが目につく。 ヤクザってやっぱお金持ってんだね。 「ユヅキ」 「はい?」 「明日総会がある。俺に同行しろよ」 「そうかい?」 「そうだ。何も言わずに俺の隣にいるだけでいい。キャストの恰好しとけ、ここらのVIPにお前を売ってやる」 「え?」 テツヤさんの言葉に私はテツヤさんの上に寄りかかるみたいに引っ付いた。 そんな私をしっかりと抱き留めるテツヤさんは、しっかりと筋肉がついている、男の人だった。 ベッドの上で薄着のせいか、いつ以上に男らしさを感じてしまって私は一人ドキっとした。 「金持ちたちが集まるからお前みたいなベッピン侍(はべ)らせときゃ向こうの方から名刺渡してくるよ。それ全部自分の客につけたらいいよ」 「………」 黙りこくった私に、あれ?と顔を覗き込むテツヤさん。 すごく嬉しいし有難いことだと思うけれど…そんなにしてもらっていいのだろうか? 見返りを求められることもなく、ただこうしてテツヤさんの好意に甘えてしまうだけの自分が、このままでいいのだろうか? 枕にしても、永久指名にしても…――― ジッと見つめるテツヤさんの頬にそっと手をかけると、かすかに瞳の奥に動揺を見せるテツヤさん。 そのままゆっくりと顔を寄せる私は、その薄い唇に触れる寸前で、テツヤさんの腕に引っ張られてしまう。 「おまっ! 何してんだ!?」 「…イヤですか?」 「…アホか! 嫌なわけねぇ! けど…よせよ! …したけりゃ唇以外にしてくれよ、頼むから…」 珍しく照れてるテツヤさん。 最近よくそんな顔を私に見せてくれて… それを嬉しく思う。 本当にテツヤさんを愛したい…――― そうしたら私はこんな気持ちにならなくてすむのに。 |