愛してるって言って | ナノ





ナンバー1にあげてくれる男たち1



ケイジの掛け声と同時に視線が一気に私達に飛んでくる。

店長のケイジ自らロマネコンティを持って私と藤堂のいるテーブルにやってきた。

膝まづいて「藤堂様、お待たせ致したました」目の前に届けられたボトルを私に託してケイジが去って行った。

思わずゴクリと喉を鳴らす。


「藤堂さん嬉しいです!」

「アイラちゃんが喜んでくれるなら俺はそれが一番嬉しい!さ、飲もう!」


私ごときにこんな大金を使う藤堂だけど、本当にこのままでいられる?

枕…アフターで枕誘われてもこれ、逃げられないだろうか?

急に不安になった。

チラリと前川の席を見ると、サワラがヘルプに入ってくれたようで。

その横をスッと通り過ぎるナオトにすら眼が泳いでしまう。


「アイラちゃん?どうかした?ちょっと顔色悪いね?」

「…藤堂さん、いえ大丈夫です。ちょっと寝不足なだけです」

「俺がアフター誘ってるから寝不足になっちゃった?」


申し訳なさそうな顔の藤堂にニコリと微笑む。


「まさかそんなことないです。藤堂さんと過ごす時間は私にとってもすごく大事だから…」


スッと不意に藤堂の手が私の額に触れた。


「やっぱり。アイラちゃん熱あるでしょ?すごく熱い…。俺アイラちゃんと一緒に過ごす時間は大切だけど、元気なアイラちゃんでいてほしいからさ…。今夜はアフター無しにするからゆっくり休みな?」

「…でも」

「大丈夫、アフターなくたって俺がアイラちゃんをナンバー1に絶対するから!」

「藤堂さん…すみません。でもすごく嬉しい。キャストの体調なんてお客様には関係のないことなのに…ありがとうございます」


涙ぐんで藤堂を見ると熱っぽく私を見つめていて。


「だって俺、キャストとしてじゃなくて人間としてアイラちゃんのこと好きだから」


普通に出会っていたら藤堂と恋に落ちた?

そんなことないか。

ここに来るまでの私は誰も信じてなかったもの。

誰かと出逢って恋をするなんて前の私からしたら信じられない出来事だ。

でもそれが叶うのがここ、CLUB ISLANDなんじゃないかって。




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