決意1 「お前どうした…」 営業時間になってしばらくするといつも通りテツヤさんが私を指名しに来てくれた。 テツヤさんのテーブルに座るなり「シャンパン飲みたいです」そうおねだりした。 それでも何ら気にしていないテツヤさんは、今日もドンペリを入れてくれて… 「お願いがあります!」 そう言った私、テツヤさんに抱きつくように耳元で小さく呟いたんだ。 「私をナンバー1にして下さい。枕やるから…テツヤさん専属で…」 完全に目をまん丸くしているテツヤさん。 土田組のお付きの人を手で散らした。 みんな何も言わずにテーブルから離れて行って、今ここには私とテツヤさんの二人っきり。 アキラの好きなパープルのドレスを着た私が、テツヤさんに枕営業をけしかけている。 「どうしてもナンバー1取りたいの…」 さっきのミーティングでのアキラの言葉に、怒りのような悔しさを感じた。 確かに私はまだここじゃ一番の新入りだけれど、私だって新入りってだけで、1スタッフには変わりない。 それをあの人は「口出すな」って言って。 しかもリンと仲良くナンバー1取りにこいって… 言われっぱなしなんて悔しい! あの場で宣言する勇気すらないくせに、それでも水面下ではナンバー1を狙いにかかりたいと思ったあげく、こうしてテツヤさんに頼んでしまった。 口に出してしまった言葉は当たり前に取り消せる訳がなく、驚くテツヤさんは回答に困っている。 テツヤさんが動揺している姿を初めて見た!と言ってもいいってくらい、今隣に座っているテツヤさんは複雑な表情で私を見つめていて… 「何があった?」 耳元でそう返された。 腰に回された腕に力が込められて、半分テツヤさんに抱かれている私は、それでも自分からその胸に顔を埋める。 |