ミーティング2 「そういうこと。本気だしてみんなナンバー1取りにきてよ! ふざけてるって思うなら、ナンバー1取って残ったらいいだけのことでしょ」 リンの味方したの? 冷静になろうと思う程に、アキラの言葉が妙に冷たさを増していて、リンの肩を持ったことにすら、イラついてしまう。 「待って下さい!」 気が付いたらそんな言葉。 驚いたようなアキラの顔、「余計なこと言うな」って書いてある。 書いてあるけど…――― 「横暴じゃないですか? キャストはモノじゃないんですよ! そんな戦いみたいなことさせてどうするんです?」 私の言葉に、アキラは軽く笑って煙草に火をつけた。 「それで店の売上が上がるなら万々歳だろ! 新店出すにはそれぐらいがちょうどいいんだよ! 新入りは口出すことじゃねぇぞ」 最後の本気口調に、まるで全否定された気分だった。 私の言葉なら分かって貰えるとでも思っていたんだろうか? 結局アキラはお店の売上云々しか考えていないんだと。 悔しくて唇を噛み締める私の後ろ、そっと肩にポンポンってケイジの温もりが落ちた。 テツヤさん同様、私を可愛がってくれるケイジ。 誰かに優しくされることに慣れていない私は、胸がジンと痛かった。 「アイラちゃんもナンバーワン取りに来なさいよ」 追い討ちをかけるリンの言葉に私は横に首を振る。 そんな下手な約束はしない。 「新入りなのでそんなこと荷が重いです、新入りなんで!」 キッとアキラを睨む私に、アキラの色のない瞳が一瞬だけ揺れた。 口端を緩めて、でも笑っていない目を私に飛ばしてくる。 悔しいけど、アキラの言ったことは間違ってはいない。 まだ新入りの私が、たった1ヶ月や2ヶ月でナンバーワンを取れる訳もない。 「新入りだろうとやる気のある奴はナンバーワン取りにこいよ」 オーナーのそんな言葉を残してミーティングが終わった。 |