愛してるって言って | ナノ





幼馴染6




「あ〜あ〜、あの男最低だねぇ、可哀想に。俺が慰めてやる」


スイってテツヤさん私の頭を撫でてくれて、ちょっとこの優しさに甘えたくなってしまったのは、本音。

でも、信じない。

優しい男には裏がある。

それを何度も見てきた私は、これぐらいのことで騙されたりしないんだから!


「大丈夫です、私こう見えて強いんで。それに、オーナーが認めてくれたんなら、私も悪くないってことですよね? だったら頑張る」

「まぁユヅキならナンバー入りも早いんじゃねぇ? なんせ俺の担当だし」


自慢げなケイジ。

でもこの人の下にいる限り、お店で私は自由にやれそうな気がするし…


「せーぜーガンバってよね」


ポスってアキラの手が私の髪を一撫でして離れていった。


「あぁけど…キャストも客も、言うとこは8割ウソだよ。本気で信じたら泣きみちゃうよ? お前すぐ騙されそうだから、気をつけろよな」


それが忠告だったのか、それとも親切だったのか、はたまた…それもウソだったのか…

私には分からなかった。

ただ、今まで関わったことのない人達と関わることで、ずっと一人ぼっちだった私の心が満たされていって、誰かに裏切られることを忘れてしまったのかもしれない。

信じて裏切られる辛さを、いつの間にか忘れてしまっていたのかもしれない…

それが本当の苦しみだって気づいた時、傍にいてくれたのは…あの人だけだった。


私の戦いはまだ始まったばかり。




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