愛してるって言って | ナノ





幼馴染5




「アキラ〜勘弁しろよ! ユヅキは俺のもんだぜ?」


そう言うのはテツヤさんで、鶏肉の塊を私に差し出している。

いつから私、テツヤさんのものだったっけ?


「どうせうなじでも舐めたんだろ?」


…“何されたっ?“って聞いたわりに、答えを分かっているケイジの言葉に図星な私は俯くだけで、「ああ、さっきの?」なんてことないアキラの声が届いた。


「あ〜ん」


しつこく私に銀のスプーンを差し出すテツヤさんに、仕方なくその鶏肉をパクつくと、満足気に頷いた。


「卵焼いてたのにあんなことするから焦げたの。だから必然的にその卵はアキラの分になっただけ。自業自得でしょ?」

「…昨日と違うなぁ、お前」

「なんっ!!」

「昨日はすごい甘い声出してたのに…“アキラァ”ってね〜」

「へぇ、ヤったのお前等?」


またも口を挟むのはケイジ。

超、興味なさそうなその質問に苦笑い。

でも、隣のテツヤさんは難しい顔をしていて…


「ヤってない! だって何も覚えてないもんっ!」

「まぁ、そうだろね、ヤってないよ」

「ほらね! ほら…―――え? ホント?」


視線の先のアキラは、あんなに文句を言っていながらも焦げた卵をちゃんと食べてくれていて、私の視線に気づくとほんの少し目を細めて笑った。

それがいつも優しいアキラって感じがして、また胸がキュンってする。


「オレが脱がせたわけじゃないよ、言っとくけど! 勝手に脱いだんだよ、ユヅキ。オレ下は穿いてたんもんさっき…。まぁ、見た、見ないで言うなら、そこは見たけどね」


今度はニヤって含み笑い。


「オレの店で働いてるお前は、言うなればオレのもんだろ。そこ見とくのはオーナーとして当然だからね? そういう意味で、まぁまぁだったよ」


なんか…

そんなことなら抱かれた方がマシだったのかも?

こんな屈辱的な恥ずかしさ、体験したことない!!




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