愛してるって言って | ナノ





幼馴染4




「あ、ケイジ俺今日ユヅキ同伴で行くから」

「へいへい」


オムライスをガツガツと頬張りながらテツヤさんがケイジにそう言って、適当に返事をするケイジ。


「いんですか?」

「いんだって。言っただろ、俺はユヅキに永久指名だって」


ドキっとしてしまう。

サクラさんの忠告を聞く前に勝手に受けてしまったテツヤさんの永久指名。

どうしたらとける?

でも、隣にいるアキラも正面のケイジもテツヤさんのその言葉に対して一切何も言ってくれそうもない。

別になんてことないってそんな顔。

危険なことだったらアキラはともかく、ケイジが私に教えてくれるんじゃないかって思うんだけど…

相手が自分達の幼馴染だから、警戒心がないってこと?


「テツヤ以外の永久指名は絶対受けるなよ?」


大人しくなった私にアキラがそう言った。

私を指すような視線と強めの口調に、「はい」って自然と答えていた。


「もし受けたら?」

「助けてやれねぇ…」


まれに聞く本気口調だった。

だから、絶対に受けちゃいけないんだって分かった。

サクラさんの言う通り、それはきっと枕以上のものがあるんだと。

やっぱりテツヤさんは特別許されてるんだと。


「うん、分かった」

「おう。…で、なんだよコレは」

「えっ?」


視線の先、アキラの前に出したオムライス。

みごとに焦げた卵がかかっているわけで。

テツヤさんの要望どおりに、みんなの名前をケチャップで書いた私。

アキラって書いてあるその下、所々黒い部分がある卵…

ふわとろどころか、黒焦げの間違いである。

でも、そんなこと言われても、卵を焼いてる時にあんなことしたアキラが悪いんだもん!


「それは、自分が一番よく分かってるはずでしょ?」

「分かんないね…なんで?」

「なんでって、さっきアキラがあんなことするから…」

「お前、何されたっ?!」


真っ赤になる私の言葉に食いついたのはケイジで、成功したオムライスを頬ばって麦茶をゴクゴク飲んでいる。




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