愛してるって言って | ナノ





幼馴染1




夢を見た。


真っ暗なトンネルをひたすら前に進む、ただそれだけの夢。


遠くに見えるその光に向かってただただ歩いた私。


まるで今の私の生き様のような、そんな感じだった。


――――――――――――


「ユヅキ、大丈夫か?」


頬を撫でる手と、温かい声に目を開けると、大きなダブルベッドの中、アキラが私を心配そうに見下ろしている。


「アキラ…」

「お前うなされてたよ。嫌な夢でも見たの?」

「…大丈夫」

「そう、起きれる? 腹に何か入れなきゃ今日も酒飲めなくなるから…」


あーそっか。

私お酒飲みすぎてぶっ倒れたんだっけ。


「うん、起きる…」


ハラっとシーツをまくった私は、「ギャアアアアアアア―――!!」悲鳴を上げた。


「ちょっとっ、何て声だよっ!!」


アキラが耳を押さえて私をジロっと睨んだ。

よく見たら、アキラも私も何も着ていなくて…

カアーっと顔が赤くなる。


「なんで裸っ!?」

「ああ、そんなの決まってるよ…」


私に近付いて、至近距離でニッコリ笑う。


「まぁまぁだったよ、お前」


記憶がない!

記憶がないから思い出せない!!


「ウソ、絶対ウソ! だって初めての女には興味ないって言った」


今度は私がカレをジロっと睨みつけて、アキラは枕元にある煙草を手にとって、その瞬間シーツがハラリとするのも忘れて私はライターでカチっと火をつけた。

しっかりとアキラの視線が胸元に降りてきているのを確認したら、さらに顔が真っ赤になっていくわけで。

ゆっくりと火をとったアキラに、急いでシーツを上に上げて身体を隠した。


「それはお前、誘ったのはそっちだろ? 来る物拒まずだからね、オレ」


ふう〜って煙草を吸うアキラは、ニヤリと口端を上げて私を見た。




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