愛してるって言って | ナノ





初出勤8




結局、アキラにお姫様抱っこで車まで運んで貰った私、後部座席に乗り込んで、隣にそのままアキラも乗ってきた。

運転手は黒木店長。


「ユヅキ、大丈夫か?」

「えっ?」

「酒、慣れてないのにあんな飲むからだよ! ったく…」

「………」


誰、この人?!

声は確実に運転席から聞こえてきて、私はアキラの膝枕というすごい格好。

運転手はさっき見た限りで、黒木店長だったはず。


「え、店長?」

「あ?」

「何か感じ違くないですか?」

「今プライベートだよ、お前」

「…ええっ!!」


アキラの膝の上で大きな声をあげた私は、自分の声の大きさに頭がズキンと痛んだ。

そんな私を分かっていてか、アキラの手がまた私の髪を優しく撫でていてくれて…


「聞いてるよね? ケイジとテツヤとオレ、幼馴染って」

「うん」

「店ではオレオーナー、こいつ店長だから堅苦しいけど、普段はこんなもんだよ」

「…まぁ、キャストには見せねぇけどなぁ。ユヅキは特別だな」


黒木店長までもがそう言うわけで。


「はぁ…」


そんなマヌケな答えしか返せない。

正直頭痛が半端なくて、一刻も早く眠りたかった。


その気持ちが強くて、私はそのままアキラの膝枕で眠ってしまった…――らしい―――…




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