愛してるって言って | ナノ





初出勤2




「緊張してる?」

「それは、まあ…」

「そうだよなぁ。でもサクラいるから問題ないよね! 後でテツヤも顔出すって言ってたから」

「え、テツヤさん来られるんですか?」

「なに、すごい嫌そうだね」


私の顔を見て笑うオーナー。

それはだって…永久指名受けちゃったから…


「安心しろって。テツヤはお前のこと可愛がるけど、手出すことはしないから」

「オーナーが妬いちゃうからですかぁ?」


何も言えない私に、サクラさんが後ろから突っ込みを入れるも、それって違うし!って内心サクラさんに私が脳内で突っ込みを入れた。

オーナーは面白そうに笑うと、「どうかなぁ?」って曖昧な返答!

超困る!

そんな誤解を生むような発言控えてくれなきゃ、ここにはオーナー狙いのキャストがいっぱいいるらしいんだから!

ただでさえ新人の私が初日から目つけられたら気まずいんだからっ!!

って、悪態は私の脳内での出来事で、そんな私を見てフッて笑ったオーナー。


「うまくできたらご褒美やるよ、アイラ」


なんて耳元で囁いたんだ。

カアーって顔が赤くなって、私は俯いてしまう。

そんな私にサクラさんが興味津々に「なに、なに? オーナーなんて?」って聞いてくるけど、当たり前に答えられないわけで。


「サクラさん、アイラさん…指名入りました」


絶妙のタイミングで黒木店長の呼び出し。

助かった!って思ったのは、サクラさんが完全に営業モードの顔に変わったから。


「はい、行けます」


そう言った言葉は凛としていて、大きく深呼吸をした私は、背筋をピンと伸ばしてサクラさんに続いて、その煌びやかな世界に足を踏み込んでいった。




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