愛してるって言って | ナノ





買い物4




コンコン!

ノック音がして外から黒木店長の声。


「リンさん、鈴木様お待ちなんで急いでくれませんか?」

「分かってるわよ!」


やっぱり。

この人がこのお店のナンバー1だって、すぐに分かった。

自信に満ちたその顔と、持ち合わせた美貌。

吸い込まれそうな透き通った肌…

完璧だった。


「じゃあね、アイラちゃん」

「頑張って下さい」

「言われなくとも」

「………」


バタンとドアを開けてリンさんはオーナーの好きな紫色のミニドレスを着て、フロアへと出て行った。


「ナンバー1とドレスの色が被っちゃダメから気をつけてね? 色は毎日そこに張り出されるから、確認してから着るように」


ケンチさんの言葉に若干苦笑いをしたのは、オーナーが私に買ってくれたドレスの半分が、紫色のドレスだったから。

リンさんとオーナーの噂が本当なら、リンさんだって紫色のドレスばっかり着るはずで、私着れないんじゃないの?

それなのに、その色のドレスばっかり買うなんて、酷い!!

とはいえ、30着買ってくれたから、二週間はイケルはず。

さすがにリンさんも毎日紫じゃないでしょう!

うん、きっと大丈夫。

仕舞い終わったドレス達を見て、私はタメ息半分、やる気半分の気持ちだった。




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