買い物2 「あの、私お金…出世払いでいいですか?」 「いらないって、出勤祝いだよ。貰えるうちは貰っておけよ。それにお前をナンバー1にさせたらこれくらいいくらでも買える稼ぎになるんだから、必然的にうちの売り上げも上がるって話。だからオレがお前に与える物の値段は何も気にしない、いいね?」 「…うん」 「いい子だね」 クシャってアキラが髪を撫でた。 その手をスッと腰まで下ろしたから、私達の距離がグッと縮まって… 「髪、ウイッグつけるか、店では…」 私の黒髪に触れるアキラの手に、ドキドキした。 不良街道を走ってきたわけじゃない私は、当たり前に髪を染めたこともないわけで…。 「ネイルもさせたいなぁ、化粧も…とりあえず店行ってケンチに見てもらって」 「ヘアメイクのケンチさんに?」 「そ、あいつ腕は確かだから」 「うん」 「これも持ってって。お前のロッカーも用意してあるから」 「分かった」 高級ブランド店の大きな紙袋を両手いっぱい抱えた私は、カレの運転する高級車で私が働く場所、「CLUB ISLAND」の裏口から中に入って行った。 「おはようございます!」 中に入るなり、隣のオーナーに挨拶をする従業員達。 黒木店長が私を見てニッコリ微笑んだ。 「こんばんは」 「あ、こんばんは」 ペコっと頭を下げると、インカムで何やらボソっと呟いた。 するとすぐにやってきたのは、ヘアメイク担当のケンチさん。 派手な柄シャツ姿で私の荷物を持ってくれる。 「大丈夫です、持てます」 「いいから、貸して。女の子に重い物持たせるのは性に合わないの、僕」 そう言いながらもケンチさんは私の肩に腕を回して、ロッカールームへと誘導する。 コンコンってノックをした後、数人の「どーぞ」って声がして、ケンチさんはそのままドアを開けると中に入って行った。 |