愛してるって言って | ナノ





オーナー3




「私できません、そんな仕事」

「そんな仕事だと?」


ド低い声でそう言う黒沢さんは、又ヤクザフェイスを飛ばす。

怯むな!って気張って「できません!」もう一度強くまるで叫ぶように答えた。


「オレの店はそこらにある低度の低い店とは格が違げぇ、店のキャスト全員誇りもってやってんだぁ、やりもしねぇのに、無理って言うんじゃねぇ!」


…またこの本気口調。

この人怒ると乱暴な言葉づかいになるんだと、知った。

でも、その威圧感は半端なくて、私は泣きそうになる顔をギュっと引き締めてカレを睨みつけた。


「私未成年です! お酒飲めません!」

「オレが責任取る、酒覚えろ」

「はあ? 無理です」

「だから責任とるって言ってる」

「無茶苦茶な!」

「無茶でも何でも働け、100万テツヤに渡せんのか?」

「それは…無理です」

「じゃあ働けや」

「………」


唇を痛いくらい噛んで俯く私は、どうしてかこの人に負けたくなかった。

所詮、家を母を捨てた私は、自分の人生どう歩こうが、誰にも文句は言わせない。

だったらこの人の下で働くのも…―――


「さっき言ったのってどういう意味ですか?」

「さっき?」

「ナンバー1がどうのこうのって」

「あぁ、ISLANDでナンバー1張れるってこと! オレがお前をナンバー1にしてやる」


クッて喉を鳴らして笑うこの人に、私は一週間の猶予を与えられた。




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