愛してるって言って | ナノ





安心できる温もり2



「いつものテツヤさんですね、なんか…」

「なんだよ?どーいう意味?」



肩に回した手はクルクルと私の髪の毛の先をもてあそんでいる。

思い浮かぶのは昨夜、サクラさんと一緒に居たテツヤさん。

サクラさんは何となく聞かれたくなかった感じがして、テツヤさんに聞いても同じ?

見つめる私を見つめ返してくれるテツヤさんはこんなにも優しい目だって思うのに、本当に昨日は世界で独りになった気持ちだった。



「あの…」

「どうした?」

「昨日…サクラさんと一緒にいるとこ見ました…」




一言そう言うと、テツヤさんはキョトンとしていて。



「え?お前俺んとこ来たの?」

「…ごめんなさい、ダメでした?」

「いや構わない。先に連絡よこしたら迎えに行くのに。あーなんかあった?」




今更ながらテツヤさんが軽く抱き寄せて。

その横をナオトが無言で通り過ぎる。




「あり過ぎてよく分からなくなってて、ちょっと苦しくて、でも言えなくて…テツヤさんが必要です私…。一人は嫌です…」




誰にも言えない気持ちを、テツヤさんは受け止めてくれるんじゃないかって。




「女の顔して言うなよ…」



ギュッてテツヤさんの温もりに包まれた。

安心できるこの温もりに私はそっと目を閉じる。

こうして誰かに触れられると安心できるなんて、今までの自分じゃ想像もできなくて。

アキラのあの温もりが毎夜恋しくなっていた。

アキラを信じて待ちたい。

でも愛を教えてくれる!そう言ったナオトも捨てられない。

もしかしたら私を一番に想ってくれいているのはケイジなのかもしれない。

テツヤさんだって、大事にしてくれる。

ヤクザの女になるのは嫌だけど、テツヤさんと一緒にいたら嫌なこと全部忘れられる…




「テツヤさん、今夜はずっと傍にいてください…」

「言われなくてもいるよ。毎晩一緒に寝てやるから…」

「……マクラ?」



聞き返す私の頭オデコをピンって指で弾く。

綺麗なテツヤさんの顔が切なそうに笑ってる。




「それは、お前次第。不安な夜はもう終わりだ。俺はユヅキの傍にいるから…安心しろよ」



やっとやっと、安心できた気がした。



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