愛してるって言って | ナノ





安心できる温もり1



ドドドドドってバーテンくん達がルイを一本づつ抱えて持ってくる。

そこに混ざっていたリュージが膝まづいて「こちらサービスでございます」そう言ってフルーツ盛り合わせをテーブルに置いた。



「すごい量ですね…」

「そうか?」



煙草を咥えて私を見るテツヤさんにスッと火を差し出した。

煙を吐き出したテツヤさんは指で私の髪に触れると「総会の奴ら来てる?」そう聞いた。

前にテツヤさんに連れられて行った総会でお店の名刺を配ったら次の日から反感食らうぐらいの花と指名がきた。



「はい!だいぶ助かってます!」

「そりゃよかった。ケイジに聞いたんだけど、ユヅキのことストーカーしてる前川ってあれ?」



VIPなこの場所からは全体が見渡せるフロア。

サワラがヘルプしてくれている前川を軽く指刺すテツヤの目は真剣で。

イエスと答えたら前川はどうなる?

私の知ったことない?



「答えろユヅキ」

「……はい。あの人です」

「分かった。安心しろ店から出禁にするだけだ」



不安そうな顔がバレたのかテツヤさんがそう言った顔はいつもの優しいテツヤさんの顔で。

お付の人を呼びつけると、耳元で何かを呟いた。

頷いたお付の人達は小さく私に会釈をすると。揃って前川のテーブルに行く。

サワラがギョッとした顔で視線を送るものの、テツヤさんに捕まっている私はどーすることもできまい。




「殺さないですよね?」

「当たり前だろ。それやったら捕まっちゃうじゃん」

「……そうですよね。ヤクザの世界はありきなのかと思っちゃいました…」

「まぁ、あいつ次第だけど。お前が傷つけられるようなことがあれば、どんな奴でも地獄に落としてやるよ、この俺が…」




ど低い声で言われて思わずビクンと肩をすかせた。


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