愛してるって言って | ナノ





全てを忘れる愛してる3




「お前同伴入ってんの?」

「ん、入ってる」

「断れよ今日は…」

「…どうして?」

「いいから。行きてぇーとこある」

「…でも…」


ベッドの中でアキラの腕枕でボーっとしている私には、ナオトのことも、健ちゃんのこともない。

目の前にいるアキラのことしか考えられなくて…


「二号店のこと、まだ怒ってんのか?」


緩く髪を撫ぜてそう言うアキラにクルリと向きを変えて視線を絡ませた。

あの時アキラは「新入りは口出すな」と言ったわけで。

悔しいからナンバー1を取りにいこうとしている私の気持ちもきっとバレているに違いない。

ケイジでさえ分かっていたのだから…。


「そんなことないけど…」

「けど?」

「…リンには負けたくない」


そう言ったら一瞬アキラの目が大きく見開いて、それからすぐに細まった。

同時に上がる口角。

そして抱き寄せられる温もり…。


「ほんと可愛いね、お前」


鍛え上げられた太い腕筋と、分厚い胸板に包まれる安心感は半端ない。

もう、アキラ以外の人となんて、絶対に無理。


「それってオレへの気持ちでってこと?」


甘いアキラの誘惑に私はそっと目を逸らす。

間接照明のこの部屋は別に赤面がバレる明るさでもないけれど、そこそこ恥ずかしいわけで。

続けてそう言われて私は顔を逸らすけど、逸らした顎に指をかけて、クイっと簡単に向きを変えられる。

至近距離で私を見つめるアキラの瞳は大きくて、甘い。

だからアキラの頬に手を添えてそっとその頬を引き寄せた。

されるがまま私のキスを受けるアキラはゆっくりと目を閉じるんだ。


「………」

「アキラ」

「………」

「レイラさんと逢わないで…」


キスにのせてそう言ったら、何も言わない変わりにアキラがキスをリードしていく。

これは、イエスだと思っていいの?

レイラよりも、私を選んでくれたと思っていいの??

「今も続いてる」そう言ったケイジが頭を掠めたけど…こうして私を受け入れてくれるアキラを信じたっていいんだよね?

言葉にしてくれやしないけれど、私はアキラを信じてる。

でも聞こえた携帯のバイブ音にハッとした!!


「アキラごめん電話!!」


何も言わずに私を離すアキラ。

どうしてか分からないけど、今出なきゃダメな気がして…。

ベッドを降りて携帯片手にリビングに移動したら案の定…「ナオト?」ゴクリと唾を飲んだ。




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