小さな苦痛1 部屋のドアが閉まってすぐにバイク音が聞こえて遠くなった…。 ソファーに座ったまま私はその場から動くこともできずにナオトの出て行った玄関を見つめていた。 でも…夜が明けてもナオトは戻ってこなくて… 昨日藤堂とのアフターを断った私には、今日もしっかりと藤堂との同伴が待っていてもうそろそろ行かなきゃいけない時間だ。 ここでこうしていても何も解決しないって。 弱ってしまった自分の心を奮いだたせて私はシャワーを浴びると、ナオトの部屋を出た。 「藤堂さんお待たせっ!待たせてごめんねっ!」 待ち合わせ場所で私を待っていた藤堂の腕にギュっと身体を寄せて引っ付いた。 アフター断った穴埋めはしなきゃいけないって。 そんなサービスもしていかなきゃ。 「アイラちゃん今日はアフター大丈夫?」 「もちろんです!今日も明日も明後日も…藤堂さんと一緒にいてもいい?」 「うん!ほんと昨日は大丈夫だったお母さん?」 「はい落ち着きました。でもまだ心配だから…今ちょっとだけ弱気になちゃってて…藤堂さんの力借りてもいいですかぁ?」 「当たり前だろ!俺がアイラちゃんを上げるって言ったんだから俺を信じてよね?」 グイっと肩に腕を回された。 すごい嫌悪感が私の中に芽生えるけど、グッと奥歯を噛み締めて笑顔を崩さないように我慢した。 この客は無くしちゃいけないんだって、何度も自分に言い聞かせて。 カウンターのお寿司屋さんで高級寿司を食べていても、私の脳内はナオトのことばっかりで…。 後でお店に行けばナオトに逢えると思うけど…正直合わせる顔もない。 でも…――――ナオトを今失いたくないのは事実だって。 「じゃあ藤堂さん、私着替えてきますね」 お寿司を食べてから一緒にお店に入った私たち。 同伴を終えてスッタフルームに入ってタメ息をついた。 こんなことぐらいで疲れてちゃやってけないよね…。 着替えていると、先にいたサワラが健ちゃんのヘアメイクを受けていて、電話をしながら深刻そうな顔をしていて。 「無理しちゃダメよ!とにかく今日はアフターつけないから…おとなしく待っててね…」 そう言って電話を切った。 「サワラさんって誰かと一緒に住んでるの?」 「えっ?ええ、まあ…じゃあお先に!」 「はい」 メイクを終えた私、「ナオト休みだ」聞こえたケイジの声にドキっとした。 |