愛してるって言って | ナノ





アキラ1




愛している人に愛されることが、こんなにも嬉しいことだったなんて初めて知る。

何もかもが初めての私を、嫌とも言わずに、優しく愛してくれるアキラは、途中から余裕が消えて…


「待って…」


最終段階で私の両足を持ち上げて広げたアキラにそんな言葉を飛ばす。

額から滴り落ちる汗が妙に色っぽくて、それを見ているだけで幸せなのに…


「待てねぇよ、バカ」


そう言って笑った。

そんな風に私に笑顔をくれるアキラが愛おしくて、これから起こることすら予感できないでいた。


「アキラ…」

「うん…」

「アキラ…」

「ん…」

「…アキラ…」

「もっと呼べ…」

「…アキラ…」

「いい眺め」


グイっと私の足をまた引っ張って、そこに自身を埋めていく。


「んっ…」

「力抜いて」

「…ん―…」

「オレを信じろって」

「うん」


アキラと一つになりたい…。

その気持ちが強くて、ちょっとだけ強引に私の中に入ってくるアキラを、力を抜いて受け入れた。


「ユヅキ…ユヅキ…」


ギュっと手を握りしめてくれるアキラは、私の上で、私の中で甘い声を零す。

それを全部逃がさないように、アキラを抱きとめる私に何度もキスをくれて…

快楽へと導いていくんだ。


気づくと、私を抱きしめて眠るアキラの寝顔が至近距離にあって…

下半身がダルイ。

それが気持ちの良いものなのかなんて分からなかったけれど…

こうして愛する人に抱きしめられて眠れることが嬉しい。

私を…こんな私を受け入れてくれたアキラが愛おしい。


「…アキラ…私も愛してる…」


そう言って小さく唇にキスを落とすと、ほんの少しだけアキラの口端が緩んだ。

私を抱く手にも力が込められて…

もしかして起きてる??


「起きてるの?」


小さくそう問うと、唇を開けて「寝てるよ」そう言う。


「起きてるじゃん」

「寝てるって」

「寝てる人は喋らないでしょ?」

「もっと抱かれてぇの?」

「え…」

「一応我慢してんだけど?」

「あ…ははは…」


くるりとアキラに背を向ける私を、後ろから強く抱きしめる。

耳に吐息をかけられて、身体がビクンとする。


「ユヅキが悪い!もう一回抱かせろ」


…アキラの誘惑に負けて、私たちはまた甘い時間を過ごしたんだ。

こんな幸せ…夢みたい。




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