愛してるって言って | ナノ





最初の約束1




何もかも全てを忘れさせてくれるような程に、激しいキスをされながら、私は着ていた服を簡単に脱がされた。


「アキラも、脱いでよ…」


一人だけ裸で恥ずかしいからそう言う私にクスって鼻で笑われて…


「脱がせてよ?」

「…え…」

「はい、どーぞ」


いきなりおとなしくなるアキラに…どうしたらいいか分からない私。

服を脱がせたことなんて当たり前にない私は「じゃあ」なんて言ってスッとアキラの服を脱がせることもできるわけがない。


「早くして」


そうせかすアキラは、私がモタモタするのが分かっているのか、ベッドサイドに置いてある煙草に手をかけた。

それが悔しくて、その手をパシっと払う。

一瞬ギロっと睨まれたけれど、すぐにその目を閉じさせるかのよう、首に腕をかけてキスを繰り返す…―――――

大きな枕に背中を預けて私を受け止めるアキラの手がゆっくりと私の身体をなぞっていく。


「待っ…て…あの私…―――」


どうしよう…

言ってもいいんだろうか…

これ言っちゃったらアキラ、やめちゃうかもしれない…

どうしよう…


「なに?」

「あの私…あの…――」

「なんだよ、早く言え」

「は…じ…め…て…―――なの…」


蚊の鳴くぐらい小さい声だったのに、私のことを目を大きくしてジッと見つめるアキラは「お前…」小さくそう言った。


「初めての女は…興味ないんだよね…?」


アキラの答えが怖くて目を見れない。

最初の日にそう言われたのを今もしっかりと覚えていて…


「テツヤに抱かれてねぇの?」


聞かれた質問にコクンと首を縦に振った。

テツヤさんに抱かれてなけりゃ、ナオトにさえ抱かれていないんだ。

勿論ナオトとはそうなりかけたけど…――――できなくて…。

私ができなくて。

愛情いっぱいくれるナオトでさえ、受け入れられない私の相手は、アキラ以外いない気がする。


「クソ、あの野郎」


怒ったアキラの声に顔を上げると、それでも私を見る目には怒りも見えなくて…どちらかというと、ホッとしたような表情を見せた。


「だから、抱いてくれない?」

「お前は特別」


ギュって胸が痛い。

初めてをこの人に捧げることができる幸せを、身体いっぱいで感じていたい―――…




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