愛してるって言って | ナノ





胸の奥の証3




「こんばんは〜ISLANDのアイラです!指名ありがとうございます!」

「アイラちゃん、逢いたかったよ〜」

「あはは、藤堂さん私もです〜」


ニッコリ笑って隣に座るとすぐにその距離を埋めてきた。


テツヤさんの紹介で少しづつ私のお客が増えてきて、この藤堂さんは業界の偉いさん。

色んな情報を持っていて、お金なんてかなり持っているって噂。

絶対になくしちゃいけない私の太客の一人だった。


「今日のアフター宜しくね?」

「はい、勿論です!」

「何が食べたいかな?」

「ん〜…美容の為に、カロリー少ないものがいいです…でもそれだと藤堂さん楽しめないですよねぇ?」


困ったように下から見つめ上げると、思いっきり首を振る藤堂。

この人は完全に色恋でどうにかなりそうな、そんな人。

でも、初恋も初めての私が、こんな大人の男を色恋でどこまで引っ張れるのか…少々不安はある。


恋の駆け引きなんて当たり前にしたことがなくて、だから場慣れしていない私は一々相手の反応を伺いながらの、完全なる妄想ストーリーを頭の中で描いていた。

それがうまくいくかいかないかは、自分次第であって、相手次第。


「アイラちゃんに合わせるって俺。最近太ってきちゃったし、俺も一緒にヘルシー料理にする」

「え、藤堂さんが太ったなんて言ったら世間の人みんな太ってますってぇ…。でも人に合わせられる藤堂さんってやっぱり大人ですね…憧れちゃうなぁ私…」


ニッコリ笑って膝に手を添えたら分かりやすく頬を赤らめた。

…私ってば思った以上に演技派かも…。

自分にエールを送りながらも、藤堂との席を終えた。

ナオトに誘導されてまた違うテーブルに移動。

その間もずっとナオトの腕は私の腰に巻かれていて…


「ナオト、手…」

「いいじゃん、俺のもんだから」

「ダメ、仕事は仕事!」

「ちぇ。今日も俺のとこ来る?」

「…アフター入ったから…」

「じゃあ、アフター終わったら迎えに行くから、連絡して?」

「分かった、ありがとう」

「…I Love you」

「もう!!」


耳元でそんな会話をしてから私は違うテーブルに行った。




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