甘い言葉2 「どうしてダメなの?」 それでも聞く私に、ナオトは本当に困ったように眉毛を下げて微笑んだ。 もしかしたらこの件について、口外しちゃいけないってアキラなりテツヤさんになり言われているのかもしれない。 でもそんなの私が黙っていればいいだけで… 「お願い、私誰にも言わないから…だから教えて、知りたいの!!」 両手を合わせて顔の前でそうナオトにねだる。 でも、ナオトの口から出てきた言葉は、私の想像を遥かに超えた、優しさだったなんて。 「きっとユヅキ泣いちゃうから…。傷つけたくない、俺の言葉でなんか…」 そんなこと言われた方が泣きそうだよ…。 私の為にみんな言わないでいてくれてるの? 「泣くなって…ごめん。俺が悪かったよ」 結局泣き出す私の涙をナオトの手が頬を滑るように拭ってくれるけど、零れる滴は止まる気配がない。 「こんな時ばっか優しいの、ズルい…」 涙交じりの顔でナオトを見ると、やっぱり困った顔。 眉毛の下がったその綺麗な瞳がゆっくりと近づいて…―――――― 静かに重なる唇に、自然と目を閉じた。 「ユヅキ…俺んち行かない?」 掠れたナオトの声。 分かってる、家なんて行ったらどうなっちゃうかなんて。 ナオトが軽いのも知ってるし、私をそういう目で見ていたのも本当は薄々気づいていた。 だからこれはきっと罠だ。 分かっているのに… 「私罰金はごめんだよ」 「…バレないよ、絶対」 「風紀はダメだよ…」 「だからバレないように…」 「本気じゃないんでしょ、どうせ?本気なら私と一緒に罰金払ってよ?」 「………」 悲しそうなナオトの瞳。 「払うよ、ユヅキがいいなら」 「え?」 まさかナオトがそんなこと言うなんて思ってもみなくて、思わず素っ頓狂な声を出してしまう私にちょっとだけ微笑むナオト。 |