愛情3 私を抱きしめるテツヤさんの腕が、ほんの一瞬ピクンとした気がする。 それが、触れちゃいけないことのような気もして…――― 「お前、失神しちまうからなー! 初めてじゃねぇかぁ」 だからそうやってはぐらかされることも予想通りなのに…―――― 「初めてくらい、自分の惚れた奴としろよ。俺の枕はそれからで十分だ。永久指名だしな」 ポンポンって私の頭を撫でるテツヤさん。 そこに含まれているのは、テツヤさんの優しさなのか、大きな愛なのか…。 「そんな欲しそうな顔すんな。お前の心掴んでるのは、俺じゃねぇだろ」 そう言われて、カアーっと顔が熱くなる。 テツヤさんの言った言葉の意味に、私の脳内に浮かぶのは当たり前にアキラで…。 でも…でも…―――― 欲しそうって、何?! 私、そんなモノ欲しそうな顔してた?! それってどんな顔よ… 見つめるテツヤさんは優しく微笑んでいて、私以上に私の心の中を分かっているんじゃないかってほど、テツヤさんは私を理解してくれている。 それが、単純に嬉しかった。 人に対してこんな感情を持つのが初めてで、いつの間にかテツヤさんへの不安や不信は、安心と安らぎに変わっていたなんて。 もっともっと時間がかかるものかと思っていたし、私自身そんな気持ちをもつことなんてもう、この先ないと思っていたのだから…。 こんな私だって、誰かを信じていいんだよ、とそう言われた気がして、やっぱり嬉しかったんだ。 だから、その裏に隠されたテツヤさんの思いに、気づくことができなかったのかもしれない。 気づいていたならこれから先、テツヤさんを悩ませることもなかったのかもしれない。 いつまでも優しいテツヤさんに甘えることに慣れてしまった私の最大の罪なんだと…。 |