愛してるって言って | ナノ





決意5




私を抱き上げてそのまま寝室に行ってベッドに降ろされる。

どうしてかスローモーションの動きを、怖いという感情よりは、ドキドキした想いが勝っているのか、やっぱり私は無抵抗。

それより何より、今ここでアキラが私を抱いてくれるのなら、テツヤさんの枕にも少しは役に立つことができるかもしれない…

そんなことを思ったんだ。


「…ユヅキ」

「ん?」

「いいの?」

「えっ?」

「このまま続けていいの?って…。お前やっぱ今日おかしいよ…」


続けていいよって私が言う前に、アキラは私の上から降りてベッドにゴロリと横になった。

肘を立てて、大きな手で頬を支えて私を見ている。


「おかしい?」

「ナンバー1のこともそうだし…」

「それは…アキラがリンの味方したからで…それに」


途端にニヤって笑うアキラを見て、しまったと思った。

今の言い方じゃ完全に私がリンにヤキモチ妬いたみたいで…

実際そうなのかも?しれないけど…


「それに?」

「…それに!スズさんの言うように、ナンバー2の人が可哀想…」

「ふうん」

「あんな言い方酷い。お店の売り上げの為だったらどうでもいいって…アキラはそんなに冷たい人じゃないと思う」

「ユヅキ」

「はい?」

「オレのこと信じる?」

「えっ…」

「お前、オレを信じるか?」

「………」

「答えらんねぇか、まだ」

「……分からない」

「まぁ、いいや」

「テツヤさんは…信じれる…気がする」


どうしてそう言ってしまったのかは分からない。

ただ、テツヤさんと言った瞬間、アキラの機嫌が物凄く悪くなった気がする。

でも複雑で、アキラの感情が全く読めない。


「怒ってるの?」

「別に」

「でも…」

「黙れよ!」

「…ッ…」

「もう寝ろ…」


横暴!!


でも、一つだけお願いがある。

私、テツヤさんの枕やるから…


「初めてはアキラがいい…」


眠くて、睡魔に襲われて…

口に出したか出していないか、分からない。

意識が遠のく寸前に、アキラの腕が私をギュっと抱きしめてくれた気がしたのは、気のせいだったのかも…




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