Forever3


「はいっ!?敬浩に告られた!?…展開が早いよ、ゆきみ!」



週末でもないのに奈々の家に来ちゃう私って、結構悩んでるってことかなぁ。



「私も吃驚してる!何か敬浩も別れたみたいで、私を選ぶって…」

「直人さんはもういいの?」



真剣な奈々に脳内で直人を想うけど、その答えなんて出てこない。

泣かない私を心配している奈々。

一人で泣いたんでしょ?って顔で私を見ている奈々。

私が直人をどれだけ好きだったか、愛していたのか、奈々は知っている。

だから心配しているんだって。

日に日に奈々の優しさが身に染みてくるようだった。



「じつは、正直よく分からなくて…。直人のこと好きだと思うけど、直人じゃなくてもいいのかも…って。あんなに好き好き思ってたのにね。いつからか直人が傍にいるのが当たり前になってた。別れたことで分かったこともあってね。奈々が傍にいてくれるのも当たり前のようで私にはなくてはならないことだなぁ…って。改めて分かったの。…いつもありがとう」



こうやって素直に面と向かってありがとうと伝えることはそうないことなのかもしれない。

でも今、奈々に伝えたいって思ったんだ。

親友奈々が傍にいるのを当たり前に思っちゃいけないって。

人生はどこで何が待ち受けているか分からない。

だからこそ、今を大切に生きないといけないって。

1分1秒も無駄な時間はないんだって、今ならそう思える。



「照れるから!あたしもゆきみとずっと仲良くしたいよ!」

「うん、知ってる!」

「あ、もう!!」



ふふふって二人で笑い合う。



「会ってきたら?直人さんに。別れてから全然会ってないんでしょ?」



不意に真面目な顔で奈々がそう言った。

そば茶を淹れて私に差し出してくれる。

それを一口飲むと口の中に甘い味が広まった。



「うん。会ってないな〜」

「敬浩に返事するのはそれからでもいいよ。大事なのはゆきみの気持ちだけど、あたしはやっぱりゆきみの隣は直人さんが一番似合ってるって思っちゃうの、ごめんね…」



嘘が嫌いな奈々。

冗談でも嘘が嫌いな奈々の言うことに、誓って嘘はない。

誰より私の幸せを願う奈々の言葉だからこそ、私も真剣に受け取れるんだって。



「顔見てこようかな…」

「うん!まぁ敬浩も並んで歩くには悪くないけどさぁ…」

「あは、出た!ブラック奈々!」

「今頃知ったか?ゆきみめ!」

「いや、高校の時から気づいてたけど?」

「うそん!」

「奈々が裏番長張ってたこともね!」



二人して爆笑。

私達の友情に終わりなんて絶対にない。

奈々が傍にいてくれる限り、少なからず私は幸せだと思う。

悲しい時、嬉しい時、気づけば傍にはいつも奈々がいる。

奈々の為にも、やっぱり幸せにならなきゃなって思えたなんて。

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