Secret4


「入っていい?」



玄関先でそう聞かれて…「うん…」哲也以外の男の人をこの部屋にあげることなんてそうない。

そうないっていうより、一度もない。

いつだって哲也だけで、哲也しかあげたことなんてなかったのに…

でも目の前で嬉しそうにハニかむ直人から目が離せない。



「シャワー浴びたんだ?」

「…うん」

「俺も浴びちゃおっかな〜!だめ?」

「…え、待って。どうしてうちに来たの?哲也は?」

「哲也に知られたら追い返されちゃうっしょ?それが嫌だから内緒で来たんじゃん!」



直人の言うことはあまりにもぶっ飛んでいる。

でも、そんな直人を拒めない私もダメなんだって。



「ゆきみちゃん、俺に興味があるだろ?」



自信満々な直人の顔と言葉にドキっと胸が熱くなる。

首を左右に振って否定するけど「嘘はダメだろ」手首を掴まれた。

ドクンっと身体が反応して一歩後退る。



「離して」

「いいけど、俺のこと受け入れてくんない?」

「何でそんなこと言うの?」

「言ったじゃん、興味があるって…」

「わ、私はない!」



近づく直人から一歩づつ離れようとするも、距離を埋めてくる直人にドキドキが止まらない。

哲也の友達なのに。

哲也の彼女なのに私…――


この人を書きたい…

探していたものがやっと見つかったように思えたんだもの。



「優しい哲也よりも刺激的な方がよくねぇ?俺に興味持てよ?」



クイっと顎に指をかけられて上を向かされる。

その距離の近さにゴクっと生唾を飲み込んだ。



「…分かった、その変わり…――」



直人が口端を緩めて眉毛を軽くあげて言葉を待っている。



「私のモデルになって。…――直人を書きたい!」



一瞬目をまん丸にさせてキョトンと私を見たけど、すぐにニヤっと微笑んでコツンっとオデコをくっつけた。



「それってヌード?」

「ま、まさか!」

「いいよ、ヌードでも何でも!好きに書いて…」

「…ほ、ほんと?」

「ああ、俺でよければな。けど俺のこと見てくれるよな?」

「…―――うん。見るよ」

「んじゃ成立ってことで…」

「ンンッ…」



ベッドの上に押し倒された。

そのまま勢いよく直人が覆いかぶさってきて息をつく暇もないくらい激しいキス―――


こんな苦しいキスは初めて。

哲也とは全く違うその温もりも感触も、私には全部が初めてでドキドキしたんだ。


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