Secret2


「こんばんは」

「ゆきみ、俺の彼女!可愛いでしょ!」



照れもせず堂々とみんなに私を紹介してくれる哲也。

たぶん今まで付き合ってきたどの人よりも哲也が一番優しくてかっこいい、私の自慢の恋人。

このカフェをバイト先に選んだ自分を褒めてやろうと思える程に。



「ゆきみです、こんばんは」



小さく頭を下げると直人が目の前にきた。



「直人です!いつも哲也から話聞いてるよ!今日は逢えて嬉しい!」



ニコッと優しく微笑むその笑顔に、また少し胸の奥がトクンと音をたてた。



「私も聞いてます、哲也からいつも。直人くんのこと」

「直人でいいよ、ゆきみちゃん!」



気軽にそう言ってくれて。

隣の哲也も楽しそうに笑っている。



「じゃあ直人…で」

「うん。飯行こうぜゆきみちゃんも一緒に!」



すぐに視線は私から哲也に移っていて。

私はそんな二人の後ろを歩いて着いていく。

でもすぐに哲也が振り返って私に向かって腕を差し出してくれて。



「ゆきみおいで」



ちゃんと私を隣に置いてくれる哲也が嬉しかった。




「カンパーイ!」



ガシャンってグラスが重なり合う音が響く。

居酒屋に入ってとりあえずビールで乾杯。

一口飲んでやっぱり顔をしかめる。



「ゆきみちゃんビール苦手?」



正面に座ってる直人が笑いながら私に聞く。

バレたことがちょっとだけ恥ずかしくて哲也の影に隠れながら「うん」小さく答えた。



「はは、可愛い。哲也のどこが好きなの?」

「…え?」

「顔?」

「…優しいとこ。でも顔も好き!」

「やっぱ顔か〜」

「直人!からかうなよ、ゆきみのこと!」

「はいはい!」




それっきり直人は私に話しかけてこなかった。

哲也の隣で運ばれてきた料理を黙って食べながら、哲也達の話に耳を傾けてちょっと微笑む。

そんな空間がとても楽しかったんだ。


- 15 -
prev / next

TOP