Vacation7


楽しい時間が過ぎるのはとても早くて。

海の撮影を終えた私達はその後陸での撮影を終え、夜は二人でコテージから星を見ながら晩酌。

波の音と散りばめる星に、感動すら覚えた。



「ゆきみ、手だして」

「え?うん」



カクテルを飲みながらハンモックに揺られていたら不意に直人がそう言って。

スッと手を出すとそこに嵌められた指輪。

うわーこれも演出?



「いいの?」

「うん。いつも俺を幸せにしてくれてありがとう。こうやって俺が頑張れてるのはゆきみのお陰だよ。これから先、どんなことがあってもゆきみを選んだことだけは間違ってないって言える。…――愛してる、これからもずっとな…」



満天の空の下、遠く南の島でこんな言葉。

撮影とはいえ、お芝居とはいえ、夢を見ているような気分だった。

嬉しさと恥ずかしさと色んな感情が混ざって泣きそう。



「直人…私も。私も直人の傍にいられてすごく幸せ…。何があってもこの先ずっと直人の傍にいたい…―――世界一愛してる…」



自分で言いながら直人への想いが溢れてしまって気づいたら泣いてる私をハンモックから下りた直人が抱きしめていた。

安心できる温かくて大好きな温もりに包まれて幸せすぎる…



「今すぐは無理だけど…必ずゆきみのこと今よりもっと幸せにするから…それまで待っててな?」



小指を私の前に出して、私の指にそっと絡めた。

遠い未来の約束。

叶えられない約束は好きじゃない。

でも直人の言葉なら、直人が思う未来なら、どんなに遠くても信じられるって。

ずっと待ってられるって思えるんだ。



「なぁもうカメラ無視しねぇ?」

「え?」

「キスしてゆきみ…」

「ふふふ、もう甘えん坊」

「知ってるだろ…」

「うん。知ってる」



私を見てそっと目を閉じる直人に甘いキスをした―――。



人生で最高の夏休み。

だけどきっともっと素敵なその日がいつかくる、その日までまた少し二人で頑張ろうね…。




*END*

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