二人の過去1
啓司と一緒に夜の買い出しをしつつうちのマンションへと移動した。
ドアを開けるとリビングを飾り付けてる哲也が目に入る。
「てっちゃんただいま!って、なんかすごい!でもこれ子供のお誕生日会みたいじゃない?」
折り紙で作った輪っかに、ティッシュで作ったお花。
それがお誕生日や七夕の飾り付けみたいに壁を連なっている。
「いんだよ、サプライズだよ!啓司も手伝って!」
「えー面倒。ケンチは?」
「まだ来てない。そのうちくんだろ?」
哲也と会うと啓司の意識が半分ぐらい持っていかれるからちょっと不満。
出会ったのはそっちのが先だったかもしれないけど、私の方が啓司と同じ時間を過ごしてるのになぁ。
啓司のシャツの裾をチョイって引っ張ると啓司が「ん?」って私を振り返る。
だからニヤッて笑って思いっきり背伸びをして小さくキスをした。
「てっちゃんより私!料理手伝ってー!」
「うん。哲也!俺ユヅキ手伝うからそれケンチとやって!」
「貴様ら、俺の前でイチャイチャすんな!ユヅキは俺の妹だかんなー!」
「うるさい、てっちゃん!」
私の言葉に思いっきり顔をしかめたけど、煙草を咥えて火をつけると、少しだけ落ち着きを放った。
「今日は甘ったれ?」
「甘えん坊って言ってよー。だって啓司、てっちゃんいると私のこと忘れてない?」
ムウって唇を尖らせると啓司が鼻の下を伸ばして笑う。
「哲也にも妬くんだ」
嬉しそうにポンポンって頭を撫でると腕まくりをして水道で手を洗う。
男の人特有の筋が綺麗に出ている啓司の腕、かっこよすぎる。
キュッと抱きつきたい衝動を抑えて私達は料理を始めた。
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