君に何度でも恋をする2
いつだって優しかった。
いつだって傍にいてくれた。
いつだって微笑んでくれていた。
いつだってそう、私を愛してくれていた。
今更ながら彼の大きな愛に気づいた私。
啓司と付き合っていても、良平くんと浮気しても、変わらず傍で見守ってくれていた健ちゃん。
私はこの人をどれだけ傷つけた?
知らないながらも、健ちゃんの気持ちに気づかないでいたことがもう、傷つけていたんじゃないか?って。
「俺、ユヅキが大丈夫って思うまで、そーいうこと何もしないから。安心して、そんなのなくても俺、変わらずユヅキが好きだよ」
そんな健ちゃんの言葉に甘えて、そーいうことを何もしていない私達。
別にできないわけじゃない。
ただ、その一線を越えてしまうと、戻れない場所だから慎重になっているんだと思う。
啓司みたいに意識してドキドキしてっていう前兆もなければ、良平くんのように激しく求め合うこともない。
だけれど、心が穏やかで一番素の私でいられる存在が健ちゃんなんだとやっと気づいた。
そんな健ちゃんが会社の辞令で異動になり、転勤するからユヅキとしばらくお別れだって、寂しげに言った瞬間、今まで眠っていたかのように感情が溢れてしまって、付き合おうでもなく、「結婚しよう」って言葉に、迷うことなく頷けたのは今までの私達があるからで。
その日に一緒に哲也に報告したら、思いっきり目を見開いた後、泣きながら祝福してくれた。
「ケンチなら俺何も言う事ねぇじゃん」
って。
3年間私は一度も啓司とも良平くんとも会ってなくて、今の2人がどんな状況なのか分からない。
でも健ちゃんが隣にいることが嬉しくて、それを出来れば2人にも伝えたい…
「じゃあこれで予約お願いします」
式の日取りを伝えてウェディングドレスの予約を入れた。
「腹減ったなー。飯行こっか!」
「うん。てっちゃん終わったかな、現場」
「俺たちが昔よく行ってたたまり場行く?」
不良なみんなは好きじゃなかったけど、健ちゃんがいくならどこでもついて行きたいとか思えてしまう。
「うん、行こうかな」
「お、のったね!よし、じゃあお手を拝借」
スッと健ちゃんに手を握られて地下のバーみたいな所に入って行った。
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