私の答え3
「馬鹿だなぁお前、ほんと馬鹿だよ…」
良平くんの乗った飛行機が離陸したのを確認した私は気が抜けてその場にしゃがみ込んだ。
そんな私を突き放すこともせず当たり前に傍に来てくれる優しい哲也。
ポンポンって涙の止まらない私の頭を撫でてくれる哲也は、そのまますっぽり私を包み込んだ。
「俺が女作れねぇじゃねぇか、たく」
ダメだよ。哲也からも卒業するんだから。
そう言いたいのに涙がこみ上げてきて言葉にならなくて。
良平くんと次はいつ逢える?
もう二度と逢えないとか、ないよね?
また戻ってきてくれる、よね?
自分で手放した癖に、こんなにすぐに後悔しているなんて。
だけど啓司一人泣かせて幸せになんてなる勇気が出なくて。
私がもっと自立した人間ならよかったのかもしれないけど、まだまだ甘ちゃんな私には未来を決めることが到底できなかったんだ。
「てっちゃ…ごめっ…ねっ…」
「バーカ。どんな道でも俺から離れようとするとか無理だからな。言ったろ?俺はお前の為に生きてる…」
「てっちゃん…」
空港の隅で気の済むまで泣いた私は、自分で想像するよりも120倍ぐらい酷く目が腫れてしまった。
「これ目にあててなよ」
行きと違って安全運転の健ちゃんが途中で止まると、氷の入った袋をタオルで巻いてそれを私に渡してくれた。
ちょっとだけ機嫌のいい健ちゃん。鼻歌なんて歌っている。
「ありがと、健ちゃん」
「いいえー。あ、アキラもいないし、ユヅキ今の部署に戻すから」
「…え?でも私、そうしたら健ちゃんにも甘えちゃう…」
「いーじゃん俺、2番目の兄貴だし?」
振り返ってニッコリ微笑む健ちゃんはその後ハッキリと言ったんだ―――――
「まぁ俺はユヅキを妹だと思ったこと、ただの一度もないけどね」
ドクンと心臓が音を立てた。
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