男の友情3
「イヤッ!良平くんずるいッ!」
くるりと私に背を向ける良平くんを見て哲也が肩をポンッと叩く。
立ち上がって良平くんを追いかけた。
腕に捕まって目の前に立ちはだかる。
「良平くんっ!ちゃんと私のこと見てっ!私のことそんな簡単に捨てるのっ?」
自分を棚に上げて最低だって思う。
でもここまで来て、今更啓司に優しさを振りまくのも違うって。
掴んだ腕を反対側の手で押さえつけられた。
「教えてやるよ、最初から遊びだったの、ごめんね。俺女んとこ行くわ」
良平くんの苦痛な声と祈るような視線。
女なんて私以外にいるわけない。
お互いを親友だって言い合っている哲也達みんな。
恋人は変えることができても、友達は変えることなんてできない。
もしかしたらこうなるんじゃないかって思ってなかったわけじゃない。
だけど信じていた―――私達の愛を。
それはほんの少しの時間だったかもしれない。
でも確実に愛し、愛されていたこと。
神様は平等だ。
許されないことをした私と良平くんが、永遠に結ばれることのないように…
それでもこの身体が叫んでいる、離れたくないと…
この心が泣き叫んでいる、行かないで…と。
「いやあああああああああぁっ!!!」
一人でここから出て行く良平くんと入れ替わりで健ちゃんが姿を見せた。
「ケンチ、ユヅキ抑えろ!行かせんなっ!」
「えっ!?」
哲也の言葉に、健ちゃんにふわりと抱き留められてもがく私をその身体全部で引きとめられた―――
「良平くんっ、待って!行かないでっ!」
「ユヅキッ、ユヅキッ大丈夫だから…」
健ちゃんの声と腕の力が泣きわめく私を優しく包んでいた。
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