呼び出し4
「ユヅキを幸せにする覚悟があるなら、その100倍、ユヅキを傷つけるようなことはするな!啓司は俺の大事なダチだから、ちゃんと話せ!」
そう言った哲也は、何だか泣きそうだった。
深く頭を下げる良平くん。
私なんかの為に頭を下げてくれる良平くん。
私も同じように床にオデコをつけて哲也に謝った。
「俺が望むのはユヅキの幸せだから。相手が誰であろうと、ユヅキが幸せでいてくれなきゃ嫌なんだよ。ただ啓司とはうまくいってたから…。今の盛り上がってる気持ちだけじゃなくて、今までのことも含めてちゃんと考えろ、ユヅキも。その上で啓司を選んだならアキラはユヅキを諦めろ。選ぶのはユヅキだ。自信があるならユヅキに選ばせてみろよ」
「優しい兄貴でよかったね、ユヅキ」
健ちゃんの声に言葉に涙が溢れた。
健ちゃんの言う通りだ。
哲也は気づいた時からずっと優しかった。
一度だって私が哲也に傷付けられたことなんてない。
「てっちゃん、ありがと…大好き…」
「ばーか」
言葉も態度も悪いけど、誰より優しい哲也。
哲也がいるから私、こんなにも幸せに生きていられるんだって思うよ。
「ケンチ酒!飲まなきゃやってらんねぇっ!」
昼間から哲也と健ちゃんは酒盛り。
私達は二人で良平くんの家に戻った。
「ユヅキちゃん、」
「ん?」
「ごめん、今更かもしんねぇんだけど…」
買ってきた私の歯ブラシとか、化粧水とかを袋から出しながら良平くんに視線を向けた。
「好きだよ、愛してる」
待ちに待っていた言葉が私に届いたんだ。
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