君に何度でも恋をする | ナノ

27歳の私2


久々に啓司と会って心が満たされた。

アキラとはどうやら今週末に私達の家で飲み会をするって話に纏まっていたよう。

だけど私にとってはアキラよりも啓司と一緒にいることの方が断然大事。

結婚適齢期と言っても過言ではない私の年齢。

27歳の女は、そろそろ恋人との未来を現実にしたいと内心思っている。

言葉に出して言ったことも言われたこともないけれど。






「ユヅキ聞いた?ヘッドハンティングされた人が今日からうちの部署に来るって!私達より1歳年下だよ、しかも!」

「そうなの?知らなーい。えー年下なんだ…」




年下と聞いて思い浮かべるのはもう過去の話で。

私の初キスの相手も確か一つ下の男だった。

高校一年のほんの数ヶ月しか同じ時を過ごしていない彼は、半年もしないうちに学校を辞めて私の前からも姿を消した。

淡い初恋といえば聞こえはいいけど、大人になるまでわりと引きずっていた私は、啓司と出会ってようやく自分が幸せに思えるようになっていたんだ。


そんなことを思い出していた私達のフロアが一気にざわついた。

部長と一緒に長身の男が入ってきて…その顔を見た私は何故か胸がドクンと大きく脈打ったなんて。





「初めまして、黒沢良平です。本日づけでこちらの営業部に配属になりました。どうぞよろしくお願い致します!」




黒髪をバッグで固めていて整った濃いめの顔立ち。

低い声……





「良平くん…嘘でしょ…」




言葉に出したかは分からない。

でも私の心はおおいに乱れていて。

ずっと忘れていたはずの記憶が蘇る……


あの、淡い恋心……



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