雨に隠れて3
ドンって、自販機に私を押し付ける良平くん。
彼の息遣いを間近で感じて心臓がキュンっと高鳴るのが分かった。
ああだめ、私はこの温もりが欲しい…
我慢ができない…
「その潤んだ目、めちゃくちゃにしたくなる」
低い良平くんの声にそっと目を閉じた。
もう今更無理。
めちゃくちゃにでもなんでもして。
「良平…」
私が名前を呼んだ次の瞬間、良平くんの熱い唇が私の唇を塞いだ―――――
ギュッと良平くんの腰に手を回して身体の距離を埋める。
でも次の瞬間、キスに紛れてポツっと頬に落ちた滴。
雨?
目を開けると同じタイミングで良平くんも目を開けた。
「降ってきたな」
「うん」
雨を確認したけどまた良平くんの顔が近づいて唇を塞がれた。
舌を入れ込んで私の口内をねっとりと舐めていく。
舌先で歯列をなぞって溢れる涎をジュルリと吸い取られて溜息すら零れそうになる。
唇をハムって甘噛みされて、舌を甘く絡めとっていく良平くんの息遣いに身体がカアーッと熱くなっていくのをただ感じていた。
「ユヅキッ…」
「ンッ…」
腰に腕を回されて片足も絡まった。
自販機を背に良平くんの止まらないキスに気持ちが、心が満たされていく気がした。
あんなにも不満だらけだった心の隙間が、たった一つのキスでどんどん埋まっていくんだ。
なんて単純な生き物なんだろうか、女なんて。
求めているものが手に入った喜びは、最高に心地が良い。
それが、なかなか手に入らないものならば尚更に。
満たされなかった数日を埋めるぐらい、私達は何度となくキスを繰り返して抱き合っていた―――――
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