瞳を閉じたら2
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ガチャっと鍵を差し込んで家のドアを開けてそのまま部屋に直行した。
「あれ?ユヅキ?帰ってんの?」
コンコンって哲也が部屋をノックする。
「てっちゃんごめん、風邪ひいちゃったから寝るね」
「は?ちょっと開けるよ」
有無を言わさず哲也が私の部屋に入ってきた。
ベッドの上に座っている私を見て片眉を下げた。
「ひでぇ顔してる。アキラとなんかあったの?」
…言えるわけない、あんな馬鹿なこと。
あんな馬鹿な…―――ふわりと哲也の温もりに包まれる。
堪えきれず泣き出す私を哲也は黙って抱きしめてくれる。
あの頃と変わらない温かい温もり。
「てっちゃん…ごめんね」
何に対してなのか自分でも分からない。
でも言わずにはいられなくて。
この先どんな顔して啓司に会えばいいのだろうか。
「やっぱりユヅキにそんな顔させるのはアキラなんだな…」
しばらくしてから哲也が小さくそう呟いた。
ようやく涙も止まって顔をあげた私に「ちょっと待ってて」そう言うと濡れたタオルを持ってきて私の目に被せた。
「そろそろケンチが来るから。なんかいい酒入ったからって。啓司は今週忙しいって。だから安心して」
啓司が来なくてよかった、だなんて思いたくないのに。
啓司のいないことにホッとしてしまう。
私は最低だ。
「健ちゃんもこんな私幻滅だね」
「俺は愛してるよユヅキ。どんなユヅキでも変わらず愛してる」
「てっちゃん…」
ジワリとまた涙が滲んでくる。
私は哲也の妹失格だよ。
タオルに顔を埋めてベッドにゴロンとした瞬間、ピンポン…健ちゃんが我が家に到着した。
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