君に何度でも恋をする | ナノ

啓司との未来2


「三日もだし、言うよ。啓司なら良平くんが一緒なら逆に安心だな!とか言いそうだけど…」

「確かに…」



そう思っていた私に、その日の帰り、啓司と待ち合わせしてご飯を食べていた私に、良平くんと明日から三日間出張に行ってくる…そう告げたら予想通りの台詞が返ってきたんだ。




「アキラが一緒なら安心だな!頑張ってこいよ」



正面から手を伸ばして前髪をポンポンってする啓司に笑いが込み上げた。

さすが啓司。

でもそれだけ私のこと信用してくれているってことだよね?

それはそれで嬉しいことかも。



「お土産買ってくるね!何がいい?」

「…いいよ、これで美味いもん食っておいで!」



そう言って啓司は私に諭吉を差し出した。



「え、大丈夫だよ、」

「いいから。足りねぇ分はアキラに出して貰って!な?」

「…なんか、旦那さんみたーい」

「だろ?つーかいいなその呼び方。早く結婚してぇ、ユヅキと…」



結婚という二文字が啓司の口から出るのは初めてのことで。

私はまじまじと啓司を見つめる。



「結婚しようよ、啓司」



思わず身を乗り出して啓司の手を握った。

ほんの目を大きく見開く啓司は、その後嬉しそうに口を開けて笑う。



「俺でいいの?ユヅキ」

「は?どーいう意味?」

「俺なんかに着いてきてくれるの?」

「啓司意味がよく分からない」

「いや俺こんな性格だし、」



この期に及んで自分の性格に問題ありを訴えるなんて。

さすが啓司。

でも分かる、これが啓司って人だって。

だったら私はそんな啓司ごと受け止めるだけだよね。



「黒木ユヅキになりたい…啓司しか私を幸せにできないよ、ばか」



啓司のほっぺたを指で軽く抓る。

真っ直ぐ私を見ていた啓司は軽く目を逸らす。



「結婚なんて考えてないと思ってた、ユヅキ。ましてや俺となんて…」

「考えてないわけないでしょ!いつ言ってくれるのかって、ずっとずっと待ってたんだから…啓司あのね、啓司が自分で思うよりもずぅーっと私、あたなのこと愛してるから…」

「マジかよ…」



いったい今までどんな気持ちで付き合っていたのか?啓司の気持ちは分からないけど、大事なことはやっぱりちゃんと言葉にして伝えないとだめなんだ…

改めてそう思った。



「ちゃんと考えよう、私達の未来のこと。私は啓司と一生一緒にいたい。幸せにして?私のこと…」

「おう、ちゃんと考えような」



啓司の笑顔に私の気持ちもようやく落ち着いた―――――


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