君に何度でも恋をする | ナノ

昔話2


今更気にしないで…

それが健ちゃんの本音なのかなって思ったから私はスッと健ちゃんに向かって手を差し出す。

「え?」って顔で私を見つめ返す健ちゃんに「これからもよろしくお願いします!」そう言うと、嬉しそうに笑って握手をしてくれたんだ。



「よかったな、ケンチ」



私の後ろで得意気な啓司の声。

ポンポンって、啓司が頭を撫でるからまた体重を啓司にかけた。



「そういやアキラは?お前はどーだったの?学生の頃!彼女とかいたの?」



チャイな啓司はやっぱり空気が読めなくて、得意気な顔のまま良平くんにそんな質問を飛ばす。

哲也も健ちゃんも興味津々な顔しているから良平くんは私から目を逸らした。

グイッてビールを飲み干すと「まぁ、いたけど…1人だけ…」なんて言った。

地黒の良平くんは赤面しても分からないぐらいで、私はお酒のせいで顔が赤くなっていることがバレずにすんでよかったなんて内心思ってしまう。



「俺が高一の時、一個上の先輩だったかなぁ。少しの間だけ付き合えたけど、結局あっち行くことになってそれっきり。別れようなんて言ってねぇし、あっちに行ってから一度も連絡取らなかったからそのまま自然消滅だよ」

「へえー。もし再会したらどーする?」



啓司が枝豆を後ろから私の口にも運んでくれる。

このまま指に噛み付いてやろうかと思ったけどやめた。

それじゃ良平くんとの過去がバレても言い訳できないし。

私を見ることなく良平くんはカチッと煙草に火をつけた。



「どーもしねぇよ。きっと今の彼女の世界に俺はとっくに存在してねぇだろ。女は傍にいてくれる男を選ぶんだろ?」



チラリと私を見つめる良平くんにドキンと心臓が高鳴った。



「私に聞かないでよ、」

「だな!悪い悪い!」



目を細めてニカッて笑う良平くんに哲也がジッと見つめていたことに気づかなった。




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