二人の過去2
「お昼できたよー!」
遅めの昼食をとろうと、哲也を呼んだ瞬間、ガチャガチャって鍵が開いて健ちゃんが顔を見せた。
手にいっぱいのお酒とデパートのお菓子を持って。
啓司と健ちゃんはうちの合鍵を持っている。
いつでも来い!って昔哲也が渡していた。
「健ちゃん!」
玄関まで迎えに行ってお菓子を受け取ると、「こんにちは」その後ろにいる良平くん。
げ、一緒だったの?
私を見てニッコリ微笑んだ。
昨日見せた黒笑顔は完全に封印されている様子。
まぁ、出されても困るけど。
「あ、こんにちは」
「ユヅキちゃんが好きそうなのって、ケンチが買いまくって。これ全部食うの?」
大量のデパ地下お菓子を見て笑う良平くん。
「良平くんも食べるのよ!」
「え、俺甘いのはいいよ。ユヅキちゃんに任せる」
「ずるい、自分だけ!てっちゃんの珈琲と合わせると絶品だから食べなさいよね!」
「とりあえず腹減ったから飯ある?」
「もー」
……ハッとした。
健ちゃんも、お酒を取りに来た啓司もちょっと吃驚したように私と良平くんを見ている。
ついつい普通に会話しちゃってたけど、おかしいよね?
「あ、啓司!久しぶり!」
でも良平くんのそんな声に啓司はやんわりと笑顔を見せた。
白い歯をのぞかせて。
「おう、元気だった?」
「お陰様で!」
軽くハグする大男二人に何でかドキドキした。
「啓司あのね、この人私同じ高校だったの。たまたま委員会が一緒で少しだけお話したこともあって…まさかあのアキラだなんて知らなくて。昨日会社で健ちゃんと話してるの見て初めて知ったの…」
「マジで!?ユヅキと同じ高校だったんだ?それなら納得!んじゃ俺たち昔っから繋がってたんだな、みーんな!」
……肝心な所は別に言う必要ないよね。
もうとっくに終わったことだし、私には啓司がいるから。
「そういやアキラって確か偽名だったなぁ」
ケラケラ笑う啓司にホッとしたけど、哲也だけは変な目で私を見ていたことに気づかない。
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