君に何度でも恋をする | ナノ

日本語下手でチャイな恋人2


「落ち着いた?」



お風呂からあがった私をまたふわりと抱きしめる啓司。

お酒と煙草の入り混じった香りに目を閉じた。




「ん。ごめん…」

「なんかあったの?仕事?」

「…んーん、ないよ。本当に啓司の顔見たくなって、逢いたくなって、」

「はぁー。可愛いこと言ってんなよ。俺お前になんかあったのかと思ってすげぇどーしようかと思った」



日本語が下手くそな啓司に安心出来るのなんて、この世で私だけじゃないだろうか。

良平くんのことは忘れよう。

初キスの思い出はとっておきたい。

だけどあの頃の良平くんはもういない。

1日1日費やしてきた時間にいるのは良平くんじゃなくて啓司だ。

この人だけで充分。



「啓司…好き」



ギュッと腕を回して啓司の大きな身体を抱きしめる。

ゴクリと唾を飲み込む啓司に笑いがこみ上げる。



「誘ってんの?」

「どうだろ」

「いやそこは、イエスって言えよ」

「うん。誘ってる。さっきシテくれなかったから寂しい…」

「いやあんな泣きそうな顔してるユヅキにダメでしょ。俺酒入ってるから正直理性とかないし、今」



そう言いながらもちゃんとキスを止められる人なのにね。

ふふふふ、そんな啓司が好き。



「啓司の理性なんて見たことないなぁ」

「おいおい、何言うの?理性の塊、黒木ってちまたじゃ有名だよ俺!」

「そんなの聞いたことないっ!」



アハハハって笑う私の頬を啓司の指が掠める。

抱きしめていた腕を離して距離を取ると、そのまま軽く唇を重ねた。

啓司のキスは、言葉も止まる。

今何の話してた?ってぐらい、どーでもよくなる。

それぐらい空気変えちゃう啓司のキス。

私には必要不可欠なキス。



「もっと…」



首に腕をかけて啓司を引き寄せる私の後頭部を抱えながらそっとベッドの上に押し倒された。

心地よい啓司の温もり。

お酒で火照った身体を抱きしめる私の服を脱がしていく啓司に身を委ねた。

義務でもなんでもない、愛情たっぷりな啓司のセックスに、溺れないわけがない。

明日良平くんと会うことすら忘れて啓司を求めたんだ。


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