等身大の俺達。


「ダーリン気持ちよかった!?」


嬉しそうなゆきみの顔。
満足そうなその顔に微笑んでゆきみを引き寄せる。
ギュッと抱きしめると素直に俺の腕におさまる。
モデルにしては小さいゆきみは、ギリギリ俺より背も低い。普段はヒールを履いてるから俺よりちょっと高くなってるけど、ほんっと可愛い。


「最高だった。」

「ゆきみも!!ねぇダーリン。あのね、お願いがあるの。」

「お願い?なに?」

「あれ、着たい…。」


ゆきみが顔をあげて指さした所にはそう、ここに入ってきた時に気づいていたけどあえて気づかないフリ。
まさかの学生服がそこには沢山かかってあった。


「高校生の時に戻ろ!!今の直人くんも好きだけど、昔の直人くんに逢いたい。」

「さすがに33のオッサンがこれは。ゆきみはまだハタチだから問題ないと思うけど…。」

「大丈夫!!ダーリン顔が若いから。ね?とりあえずパンティーはいて。」


ゆきみは俺のブランドsevenのボーダーニットだけを羽織るとそのまま立ち上がって俺を連れていく。
ハンガーにかかった一式を俺に合わせて微笑む。


「とりあえずこれ着て!!」


渡されたのは学ラン。しかもこれ、ボンタンじゃねぇ!?後ろ×ついてるし。


「え、これ?」

「いいから、絶対似合うから!!」


ゆきみに押されて着ると思いの外似合っている。
写メを撮りまくるゆきみに、思わずポーズをとった。


「テーマは、学校1のお祭り男(不良)な彼にチョコを渡す、優等生!!」


髪を三つ編みしてダサ眼鏡をしたゆきみがチョコを恐る恐る俺に差し出した。
無言で受け取る俺を見てまるで目からハートを出しそうなゆきみの表情。


「萌える、やばい!!じゃあ記念にツーショット!!」


カシャリとゆきみがツーショットを撮った。
そうやって俺はこの後何着も着替えさせられてゆきみのそれぞれのシチュエーションに付き合うわけで。


「じゃあ最後はこれね。」


結局今の等身大の俺とゆきみをスマホにおさめた所でコスプレ大会は無事に終わった。
ありがとう!って、満足そうに微笑んだゆきみは、「ダーリン!!お風呂入ろうっ!!」相変わらず元気だ。
シャワー派の俺も、ゆきみの影響で入浴剤で色づいた湯船に一緒に浸かることも増えた。


「楽しかった!?俺とのバレンタイン。」

「うんっ!!ダーリン優しいよね。いつもゆきみの我儘に付き合ってくれて。こんなに優しい人、ダーリンしかいない。」

「そんなことねぇよ。ま、けど…俺のゆきみへの愛ってやつが、勝っちゃうから…。外じゃできないけど、家の中だったらなんでもしてやるからさ。」

「嬉しい。ゆきみ幸せだよ、ダーリンに愛されて。」

「そろそろ直人って呼んで…。」


チュッてゆきみの頭を引き寄せてキスをする。
そのままお湯の中、ゆきみの手を掴んで俺のソコに宛てがうと「勃ってる!!なんでっ!?」なんでって、裸で抱き合ってりゃ自然とねぇ。俺オトコだし、好きな女と一緒に風呂入ってりゃ、どーにもできねぇっしょ。

バレンタインの夜、幸せ絶頂のゆきみと俺。
この日ゆきみがあげたインスタには、俺用の本命手作りチョコ…ではなく、マネージャーさんと一緒に買った義理チョコが写っていた。

誰も知らない、二人だけの秘密はまだまだ続く。


*END*


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