久しぶりの本命チョコ。


ヒートアップするゆきみのキスに、ライブ終わりの熱が冷めきっていない俺の身体。
まずいこのままだとここで抱きそう…


「ゆきみ、ストップ!!ここでしたら身体痛くなるから、とりあえず落ち着こ?な?」

「あ、うん。私盛ってた!?」


恥ずかしそうな顔を見せるゆきみに盛りたくなるのは俺の方。いやでも大人としてここは我慢。
ゆきみの頭に手を乗せて「盛ってないから!!」子供をあやすように言うとまた恥ずかしそうに目を逸らした。


「ここで作ってたの?それ。」


テーブルに置いてあるラッピングを指さして聞くとゆきみは笑顔で「うんっ!!」そう答える。


「今日バレンタインだから、ダーリンにチョコ渡そうと思って!!本命だから手作りだよね!!」


本命って響きをまともに聞いたのはいつぶりだろうか?
LDHのスタッフさんやE-Girlsのメンバーの子からは毎年それなりに義理チョコを貰うけど、こうやって一人の女に本命チョコを貰うなんて久しぶりすぎて顔が笑う。


「開けてもいい?」

「うんっ!!」


自信満々にゆきみがそれを俺に差し出した。
普段料理なんてしないだろうゆきみ。
爪には綺麗に手入れされたネイル。細くて小さいゆきみの手は可愛い。
その手で一生懸命作ってくれたと思うとやっぱり顔が笑う。
でもそれを悟られたくないから思わず眉間にシワを寄せるとゆきみが寂しそうに俺を呼んだ。


「ダーリン…。」

「え?」

「もしかして、チョコ嫌いだった!?」

「いやいや好きだよ。」

「ほんとに!?ゆきみに遠慮してない!?嫌いだったら無理して食べなくてもいいよ!?」

「やっ、違う。いや本命って渡されるのすげぇ久しぶりだったし、ゆきみが俺のために作ってくれたと思うと嬉しくて…。ちょっと恥ずかしいの隠そうとしてた。ごめん!!」

「な、なんだぁ。ダーリン顔怒ってるから嫌いなのかと思った。」

「ごめんな。」


そう言ってゆきみの頭をポンポンって撫でるとパァーっと目を輝かせた。
え、なに!?俺なんか、した!?


「憧れの頭ポンポン!!ダーリンもっかいして!?」

「へ…?」


ああ、少女漫画好きだったな、ゆきみは。確かに女子が憧れるシチュエーションだよな、これ。
俺は手をゆきみの頭に乗せると、もう一度ポンポンと撫でた。


「可愛い。」


ついでに台詞もつけてあげると、溶けそうな顔でゆきみがペタンと床に崩れ落ちた。


「ダーリン好き!!」


ふわりと俺の足に絡みつく。まるで尻尾を振ってる犬みてぇ。


「キスする?」

「するっ!!」


ゆきみを引っ張ってソファーに上げるとそのまま熱く唇を重ねた。
やべぇ、まじで止まんなくなりそう。


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