「…あの……」

「ユヅキ、もっかい名前呼んで?」


背中をガッチリ固定されてそんな言葉。

いつだってあたしを逃がす気のない寺辻くん。


「呼んだら何してくれるの?」

「ユヅキのしたいこと全部してあげる」

「あたしがしたいこと分かる?」

「分かるよ。だって一緒でしょ?オレとユヅキのしたいこと…」


そう笑うと、背中の腕で軽くあたしを引き寄せて、チュッてキス。

すぐに離れた唇、足りないと言わんばかりに「健一郎…」耳元で囁く。




「唇じゃなくても、あたし以外の人とキスしないで」

「しねーよ」

「こうやって抱きしめるのも?」

「ユヅキだけだって」

「約束してくれる?」

「誓う」

「健一郎…」

「ん」

「大好き」

「オレも、大好きだよ」


甘くて甘くて、どうしようもなく甘いこの人が、

たった一人、あたしの運命の赤い糸の相手。

幸せを噛み締めるあたしに、健一郎の深いキスが落ちていく…―――

間もなく夜が街を染めていく…―――


どうかあたしと健一郎も、ほんの一時隠して欲しい…

何にも邪魔されないように…☆





*おまけ END*


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