EX学園高等部1年5組、土田哲也くん。
なんでもカレは、この界隈を牛耳っているっていうあの有名な暴走族チームsecondに所属しているとか。
どうしてそんなド不良に恋をしたかって?
それはまぁ…――
貯水タンクの上で寝ていたあたしに屋上のドアを開けてやってきたのがカレで。
だだっ広い屋上をふんだんに使って華麗なダンスを踊るという衝撃的なことを目にして。
その美しいダンス姿に惚れて、顔を見たらもう、すんごいイケメン!!
これはいくしかない!って、今日告白を決意したんだ。
「吐きそう〜」
「本当に土田哲也に告るの?」
「勿論!」
あたしを見てげんなりした顔を飛ばすのは、親友のユナ。
お昼休み、いつも彼らがたまり場にしている中庭に向かう途中の渡り廊下で、あたしは牛乳を買って一気飲みした!!
もう、そこに見えている哲也くんに視線を向けると、お昼に食べたものが全部出てきそうなくらい緊張するけど、なにごとも口を開かなきゃ何もおこりゃしない。
一度フラれたぐらいで諦められるような想いだったならば、最初から告白なんてしない!
そう意気込んでいたのは中庭に出る寸前までで…。
一歩そこに足を踏み出したあたしは、完全に頭の中が真っ白になってしまう。
そこには、暴走族に入っているって噂の数人がみごと揃っていて、堂々と煙草を吸っていた。
その姿に思わず見とれて、突っ立ってしまったあたしを、何人もの視線が一気に飛んでくる。
「なんだお前」
そう言ったのは確かこのチームのボスって噂の啓司って人で…。
「わぁお! 女だ、女っ!! なに? 俺に会いに来たのっ?」
ズイって目力のすげぇ金髪が近寄ってきて…
「あのあたしっ、すっ…好きですっ、付き合って下さい!!」
気づいたら叫んでいた。
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