男のプライド

「…や、理性とか色々…」

「ん?」

「え…」

「分かんない!寺辻くんの言いたいこと、あたし分かんないよ?」


強行突破って感じ、寺辻くんの腰に腕を回して見上げた。


「わ、ちょっと!!下半身攻めないで、マジで危険だから!」


そんなアホな回答を待っていたわけじゃなくって。

もういい!

フラれてもいい!

そう思ったあたしは、スーっと息を吸い込んだ。


「好きなの!好きになっちゃったのっ!」

「わ…待ってって、オレが言おうと思ったのに…。二度もユヅキちゃんの口から言わせるなんて、男として恥だろ!?ユヅキちゃんの気持ちは、さっきちゃんと聞いた。そんでオレも真剣に答えなきゃダメだ、後悔するって…。だから5、6時間目使って女全部切ってきちゃった。んで全部終わってオレの口からちゃんと”オレもユヅキちゃんが好きだ”って言わねぇと…って」


言い訳がましい寺辻くんの長い告白に、あたしは止めていた想いが堰を切ったように溢れ出してしまう。

至近距離で見つめ合っていることがちょっとだけ恥ずかしくて、でもやっぱり寺辻くんとのこの距離が心地よい。

ずっと聞きたかった言葉、欲しかったその言葉に、あたしはやっぱり涙が溢れてしまって。

困った顔を見せる寺辻くんの胸にそっと顔を埋めた。

同時に、あたしの背中に腕を回して抱きしめ返してくれる寺辻くん。


「教えてあげる、涙止める方法…」


あたしの言葉に不思議顔の寺辻くん。

その首に腕を回して…―――



「こうして…」





背中に回された寺辻くんの腕が強くあたしを抱き寄せて…―――

頭の中、真っ白になっちゃいそうなくらいに強くしがみついた。

ゆっくりと近づくあたしが何をしようとしているのか分かったみたいで、背伸びするあたしをしっかりと受け止めるようにあたしを見つめた。

たった数回したあの時のキスとはとうてい一緒のものとは思えないような寺辻くんのその舌使いに、腰が砕けそうになる。

ギュウって痛いくらいにしがみつくあたしの腰に腕をかけて、そのまま抱き上げられた。



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