泣いてスッキリしたのか、あたしはもう一度ちゃんと寺辻くんに想いを伝えようと決心するわけで…。
放課後、中庭を覗くと、そこにいるのはいつものsecondメンバー。
でも、その中に寺辻くんだけいなかった。
「あ、ユヅキ!!」
将吉があたしを見つけて指を指して叫んだ。
「あの、寺辻くんは?」
「ああ、女んとこ。今荒れてるから近寄らねぇ方が自分の為だぞ」
続く将吉の言葉にあたしは心臓が刺されたように痛くなった。
「…え、女?」
「お前、俺のこと好きなんだろ?」
あたしの問いかけを無視して近づくのは哲也くん。
まだ頭に白い包帯を巻いているものの、見た感じ元気そうではあって。
ちょっとだけ面白がるような顔で更にあたしに近づく。
確かにそうだったけど…
「ケンチに全部聞いたよ。告白間違えたことも。いーよ、付き合っても!?」
「えっ!?」
まさかの哲也くんの言葉にあたしはその場で固まってしまう。
「お前の顔嫌いじゃねぇし、身体もまぁ…悪くない。だからいーよ」
そんな風に言われる筋合いはないし、寺辻くんはそんな目であたしを見なかった。
「あの、あたし…間違えてないから!あたしが好きなの…―――寺辻くんだけだからっ!」
告白第一発目と同様、そう叫んだんだ。
「え…?」
聞こえた声に振り返ると、驚いた顔の寺辻くんがいて。
「ユヅキちゃん今の…」
あたしは走って寺辻くんの所に駆けよった。
そのまま腕を掴んで見つめあげる。
「好きになっちゃったの、寺辻くんのこと!だからあたしともう一度付き合って下さい!」
願いを込めて、そう言った…
「ケンチ、早く行こ〜よ」
甘ったるい声が後ろから聞こえて、おそるおそる振り向くあたしに、「誰、あんた?」そんな言葉。
「ああ、もしかしてケンチの遊び本気にしちゃった子ぉ?マジ迷惑だからやめてよ〜。ケンチの彼女はあたしだよ!」
そんな事実が突き付けられたんだ。
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